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Backside storys
第3章 龍沢 玲司
関西に、もう帰るつもりもない。俺は二十歳になり、約束通り社長の家を出て、徒歩15分くらいのところにワンルームの部屋を借りて住み始めた。
何かと必要になるから車も買った。

春になって時間ができたら彼女も作ったけど、寒造りが始まると忙しくて、休みが格段に減るし、第一疲れてまめに連絡取る気力がなくなる。休みの日は殆ど寝て過ごした。そんな中、向こうからの不在着信とか、メッセージが続いて、それも読んだり読まなかったり、返事は出来ないでいたら、大概、もう無理、別れよう、みたいな流れになってしまって。あ〜ぁ、やっちまった…と凹む。

そんなことを繰り返すうちに、1人のヒトと長続きするのは俺には無理だな、と開き直り、女の子と楽しむのは春、夏だけになった。
動物だって春は繁殖の季節だし、ひと夏の恋なんて言葉もある。別に俺に限ったことじゃないさ、と考えていた。

そんな、軽い付き合いしかしたことない俺に、涼香ちゃんからの告白。
他の女の子と同じように、時間のある時だけ楽しむ、なんて関係は許されない。

だから、断るしかなかった。


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