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Backside storys
第3章 龍沢 玲司
いかんいかん、とかぶりを振り、そろそろ帰ろうと促すも、涼香ちゃんの快い返事は貰えず。
仕方なく、ウチで薬つけて、お茶でも飲まして休ませてから、タクシー呼べばいいか…と諦めてウチに連れて行った。
テキトーに座ってて、と声をかけて、押し入れから薬箱を取り出した。
部屋の唯一の収納である一間の押し入れ。下段は畳んだ布団。
上段は棚を設置して半分が洋服の収納、半分が生活用品の収納だ。
元々持ち物も多くないし、寝に帰るだけの部屋、大層な家具は必要ない。
チューブの軟膏を取り出し、指にとって二の腕の喰われて赤くなった部分に塗った。そっとその手に涼香ちゃんの手が重なり、初めて許可なく触ってしまったことに気づいた。
あ、ごめん、勝手に触って…と謝ると、涼香ちゃんはふるふるとかぶりを振って、そのまま抱きついてきた!
「涼香ちゃん⁉︎」
涼香ちゃんは目を閉じて、心持ち顔を上げてる。所謂、キス待ちってヤツ…!
「涼香ちゃん、何のつもり?」
無駄に焦る。
「誘ってる、つもり。」
男の本能に蓋をして、平常心を保とうとしてた俺に、そりゃないだろ…と固まってたら、抱きついたままの涼香ちゃんの顔が近づいてくる。
すんでのところで何とか顔を背けた。
「涼香ちゃん、彼氏がいるんだろ?」
「…別れたよ。」
「でも、俺は兄貴分だから。涼香ちゃんの彼氏にはなれない。」
お願いだから兄貴分で、居させてよ…俺は君に相応しいような、イイ男じゃないから…君を傷つけたら、俺の職場での立ち位置も危ういし…
「…私は、ずっと龍沢さんが好きなのに。」
「…だからだよ。蔵人の仕事は時間も長いし休みも少ない。苦労するって知ってるだろ?きちんと決まって休みが取れる男の方がいいと思うよ。」
「私は!そんなお父さんやお爺ちゃんを見て育ったわ!蔵人の仕事が厳しいことなんて知ってる!知ってるから!お父さんが、その短い時間だけでも家で安らげるように、お母さんが工夫してるのも知ってる。私なら、蔵人の仕事を支えてあげられると思う!」
仕方なく、ウチで薬つけて、お茶でも飲まして休ませてから、タクシー呼べばいいか…と諦めてウチに連れて行った。
テキトーに座ってて、と声をかけて、押し入れから薬箱を取り出した。
部屋の唯一の収納である一間の押し入れ。下段は畳んだ布団。
上段は棚を設置して半分が洋服の収納、半分が生活用品の収納だ。
元々持ち物も多くないし、寝に帰るだけの部屋、大層な家具は必要ない。
チューブの軟膏を取り出し、指にとって二の腕の喰われて赤くなった部分に塗った。そっとその手に涼香ちゃんの手が重なり、初めて許可なく触ってしまったことに気づいた。
あ、ごめん、勝手に触って…と謝ると、涼香ちゃんはふるふるとかぶりを振って、そのまま抱きついてきた!
「涼香ちゃん⁉︎」
涼香ちゃんは目を閉じて、心持ち顔を上げてる。所謂、キス待ちってヤツ…!
「涼香ちゃん、何のつもり?」
無駄に焦る。
「誘ってる、つもり。」
男の本能に蓋をして、平常心を保とうとしてた俺に、そりゃないだろ…と固まってたら、抱きついたままの涼香ちゃんの顔が近づいてくる。
すんでのところで何とか顔を背けた。
「涼香ちゃん、彼氏がいるんだろ?」
「…別れたよ。」
「でも、俺は兄貴分だから。涼香ちゃんの彼氏にはなれない。」
お願いだから兄貴分で、居させてよ…俺は君に相応しいような、イイ男じゃないから…君を傷つけたら、俺の職場での立ち位置も危ういし…
「…私は、ずっと龍沢さんが好きなのに。」
「…だからだよ。蔵人の仕事は時間も長いし休みも少ない。苦労するって知ってるだろ?きちんと決まって休みが取れる男の方がいいと思うよ。」
「私は!そんなお父さんやお爺ちゃんを見て育ったわ!蔵人の仕事が厳しいことなんて知ってる!知ってるから!お父さんが、その短い時間だけでも家で安らげるように、お母さんが工夫してるのも知ってる。私なら、蔵人の仕事を支えてあげられると思う!」