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Backside storys
第3章 龍沢 玲司
初恋…なんか、くすぐったい響きだな…

「…お粗末さまでした…」

俺の初恋は、いつだったっけ…学生時代は…女の子の身体に興味はあったけど、好きになった子は居なかった。付き合ってた子が初恋か、と言われたらそうでもない気がする…
そうか、俺、恋なんてしたことなかったんだ…好きにならないまま、性への興味だけで付き合ってたから、自分が忙しくなったら連絡も出来なくて、疲れたら寝ることを優先して。相手がどうしてるかとか、待ってるあいだ何を考えてどう感じてるかなんて、考えたこともなかった…だから、振られてばっかりで…一時落ち込んでもそんなに引き摺らなかったのは、その子自身に愛着も執着もなかったから…

なら、俺の初恋は多分…涼香ちゃんだな…
保身ばっかり考えて、曖昧なまま逃げ続けた俺に、君が本気でぶつかってくれたから、やっと大事なモノに気付けたよ。

お互いの本音でぶつかるからケンカする。
それでいいんだ。

それで社長や皆に冷やかされても、このコの蔵への愛情は本物だから。
俺も、一緒に守っていけばいい。

君と、君の愛する仕事を、俺が、一生掛けて、守っていけばいいんだな…

胸の中の、温かい身体をそっと抱きしめて、目を閉じた。





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