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Backside storys
第4章 芳川 翠 & 玄 徹匠 ー13years agoー
吹奏楽部からは、いつも音楽が聞こえてくる。
最初の獣の鳴き声みたいな不協和音から、辿々しい曲に。
吹きやすい練習曲なのか、カエルのうたが、エンドレスで聞こえてきて。
ああいう短調な曲って、頭の中で回るともう離れない…
夜、部屋で勉強してると、兄貴が部屋に入ってきた。
「徹〜、入るよー」
ウチは和室で部屋の入り口は襖だから、ノックする習慣はない。外から声かけて入る。
「んー」
参考書から目をあげることなく返事をした。
部屋に入ってきた兄貴は、デスク周りを物色しながら
「あ、あったあった…コレ、貸してな」
と携帯の充電器を引き抜いた。
「いいけど…自分のは?」
「彼女の部屋に忘れてきた。」
「ヒトん家で充電なんかすんなよ」
「いや、夜充電し忘れて、朝起きたら切れかけててさ。カバンに突っ込んで行って、そのままね…彼女の了解は取ってるよ。電気ドロボーじゃない。」
「別にどうでもいいけどさ、俺も夜寝る時には充電するからちゃんと返してよ」
「了解〜…ところでさ、徹。」
「ん?」
「何でカエルのうた歌ってんの?」
最初の獣の鳴き声みたいな不協和音から、辿々しい曲に。
吹きやすい練習曲なのか、カエルのうたが、エンドレスで聞こえてきて。
ああいう短調な曲って、頭の中で回るともう離れない…
夜、部屋で勉強してると、兄貴が部屋に入ってきた。
「徹〜、入るよー」
ウチは和室で部屋の入り口は襖だから、ノックする習慣はない。外から声かけて入る。
「んー」
参考書から目をあげることなく返事をした。
部屋に入ってきた兄貴は、デスク周りを物色しながら
「あ、あったあった…コレ、貸してな」
と携帯の充電器を引き抜いた。
「いいけど…自分のは?」
「彼女の部屋に忘れてきた。」
「ヒトん家で充電なんかすんなよ」
「いや、夜充電し忘れて、朝起きたら切れかけててさ。カバンに突っ込んで行って、そのままね…彼女の了解は取ってるよ。電気ドロボーじゃない。」
「別にどうでもいいけどさ、俺も夜寝る時には充電するからちゃんと返してよ」
「了解〜…ところでさ、徹。」
「ん?」
「何でカエルのうた歌ってんの?」