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独占欲に捕らわれて*Regret
第1章 悪夢の出世街道
「看護師が、そのうち警察も来ると言っていました。俺は、なにか悪いことをしたんでしょうか? おかしなものを飲まされましたけど、無理やり飲まされたんです。それでも、捕まってしまうんでしょうか?」
「落ち着いてください、鈴宮さん。あなたは捕まりませんよ」
「え……?」
穏やかに微笑む渡辺の顔を見て、晶久は少しずつ、落ち着きを取り戻していく。

「あなたがいたハプニングバーでは、麻薬取締法や売春防止法、強制わいせつ罪で捕まった方がたくさんいます。ですが、鈴宮さんは被害者です」
「被害者……」
「えぇ、そうです。暴行されたのは明白だそうで、念の為尿検査もしたら陰性だったそうですよ」
「よかった……」
晶久は胸を撫で下ろし、大きく息を吐いた。

「鈴宮さんはなにも悪くありません。だから、安心してください。今は心を整えるのに集中しましょう」
渡辺の言葉に安心しきった晶久は、大人しく渡辺のカウンセリングを受けることにした。
それから半月ほど晶久は入院し、その間に渡辺や警察、会社の人間と話をした。警察には覚えている限りのことを話し、会社の人間からは野崎が逮捕されたことを聞いた。そして晶久が野崎の穴埋めとして昇格するとも。
昇格を知った晶久は退院したら仕事に打ち込んで全て忘れようと、密かに決心した。

半月経って退院すると、渡辺がいる心療内科に通院しながら働くことになった。課長としての仕事はかなり多く、野崎はこんな仕事をこなしていたのかと少しだけ感心する。だがそれもほんの一瞬で、部長に「君は野崎なんかよりも仕事をしてくれるからありがたいよ。最初から君を課長にすればよかったかな」と言われ、すぐに野崎を軽蔑した。

当然平社員の時よりも大変な仕事も多く、やりがいを感じた晶久はとことん仕事に打ち込み、あの悲劇を忘れようとした。半年も経てば心療内科へ通うこともなくなり、更に半年も経つと、頭の中は仕事のことでいっぱいになった。
そんなある日曜の朝、晶久は赤子の泣き声で目が覚めた。
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