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独占欲に捕らわれて*Regret
第5章 平穏へ
店内に入ると既に満席で、数組の客が名前を書いて長椅子に座って待っている。
(ファミレスなんて、いつ以来かしら?)
名前を書いて座ると、千聖は店内を見回す。ふたりが外食をする時は、人混みが苦手な紅玲に合わせて、少し高いレストランや、穴場の食堂へ行くことが多い。なんなら、わざわざ個室を予約してから行く時だってある。そんな紅玲がファミレスを選んだのも、やはりSDカードをばらまくためだろう。

「こんなに混んでるところ、久しぶりだよ」
「私もよ」
なんとなく紅玲を見上げると、げんなりした顔をしている。
「ねぇ、ずいぶん無理するのね」
「何も父さんのためだけじゃないよ。たまにはこういうところ行っとかないと、執筆に困るからねぇ……」
そう言いながらもあからさまに嫌そうな顔をするあたり、本当に人混みが嫌いなのだろう。千聖の手を握り、目を伏せる。

しばらくして窓際の席に案内されると、紅玲は安堵の表情を浮かべる。
「窓際でよかったよ……」
「そこまで人混みがダメだと思わなかったわ。何かトラウマでも?」
「うーん……、自分でもよく分からないけど、人混みにいると息苦しくなるっていうか、とにかく居心地悪くてさ……。特にチサちゃんと同棲するようになってからダメになってきたかも」
「私?」
思ってもみなかった回答に、千聖は自分を指さしながら聞き返す。

「チサちゃんとふたりでいると心が安らぐんだよ。だからかな、知らない人がたくさんいる所にいると妙にそわそわしちゃってね」
困り顔で言う紅玲に、千聖は思わず頬を緩める。
「あら、嬉しい。けど、紅玲にとって毒なら、はやく出ましょうか」
千聖はメニューをひらくと、紅玲の前に置く。

「ありがと。チサちゃんは優しいね」
紅玲は短く息を吐くと、ページをめぐってメニューを決めた。
精神面とこの後のスケジュールの関係で、ふたりは1時間もせずに店を出た。それでもふたりは待っている間に座っていた椅子、案内された席、そしてトイレにSDカードをしっかり隠した。
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