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独占欲に捕らわれて*Regret
第5章 平穏へ
喫茶店から出て家電量販店の前を通ると、すべてのテレビがニュース番組を映し、黒川コーポレーションの速報を伝えている。人々は足を止め、食い入るようにテレビを見る。
ふたりも足を止めてテレビを見ると、顔を見合わせて微笑み、再び歩を進める。
「記者会見が楽しみね」
「トーマがしっかり名前で呼んでくれてるおかげで、記憶にございませんが通用しないだろうしねぇ。あの記者もタダじゃ済まないんじゃない?」
「記者どころか、出版社自体にダメージ行きそうだけど」
千聖の言葉に、紅玲の口角が上がる。
「やっぱりチサちゃんもそう思う? でもまぁ……」
着信音が、紅玲の言葉を遮る。不機嫌そうにスマホを取り出す紅玲だが、ディスプレイを見た瞬間、再び口角を上げた。
「父さんからだ。きっとニュース見たんだろうねぇ」
『おい紅玲。ニュースを見たんだがお前の仕業だろ? いったい何を』
電話に出ると驚いた様子の晶久が、柄にもなく大声でまくしたてる。
「この電話番号は現在使われておりますが、チサちゃんとデート中なのでお出になりません」
紅玲が淡々と言って切ると、千聖は吹き出した。
「もう、せっかくお義父さまが気づいてかけてくれたのに」
「いいの。それよりはやくスイーツ買って帰ろ。その頃には緊急記者会見が開かれてるかもしれないし」
紅玲は冗談めかして言うと、千聖の肩を抱いて近くのコンビニに立ち寄った。
帰宅すると、ふたりはソファに並んで座り、買ってきたカップケーキを食べながらテレビを見る。ひと通りチャンネルを回したが、ほとんどが黒川コーポレーションのニュースを流している。2つほどバラエティ番組だったが、上記のテロップに速報が書かれていた。
「これからどうなるのかしら?」
「ムショ行きは確定じゃない? 黒川コーポレーションも潰れるか、新しい社長が就任するか。ま、新社長が出てきたところで経営は厳しいだろうけどねぇ。ほら、さっそく子会社が傘下から抜けるって」
そう言って紅玲は千聖にスマホを手渡す。そこには彼の言う通り、子会社の社長が傘下から抜けると表明したという速報が表示されている。
ふたりも足を止めてテレビを見ると、顔を見合わせて微笑み、再び歩を進める。
「記者会見が楽しみね」
「トーマがしっかり名前で呼んでくれてるおかげで、記憶にございませんが通用しないだろうしねぇ。あの記者もタダじゃ済まないんじゃない?」
「記者どころか、出版社自体にダメージ行きそうだけど」
千聖の言葉に、紅玲の口角が上がる。
「やっぱりチサちゃんもそう思う? でもまぁ……」
着信音が、紅玲の言葉を遮る。不機嫌そうにスマホを取り出す紅玲だが、ディスプレイを見た瞬間、再び口角を上げた。
「父さんからだ。きっとニュース見たんだろうねぇ」
『おい紅玲。ニュースを見たんだがお前の仕業だろ? いったい何を』
電話に出ると驚いた様子の晶久が、柄にもなく大声でまくしたてる。
「この電話番号は現在使われておりますが、チサちゃんとデート中なのでお出になりません」
紅玲が淡々と言って切ると、千聖は吹き出した。
「もう、せっかくお義父さまが気づいてかけてくれたのに」
「いいの。それよりはやくスイーツ買って帰ろ。その頃には緊急記者会見が開かれてるかもしれないし」
紅玲は冗談めかして言うと、千聖の肩を抱いて近くのコンビニに立ち寄った。
帰宅すると、ふたりはソファに並んで座り、買ってきたカップケーキを食べながらテレビを見る。ひと通りチャンネルを回したが、ほとんどが黒川コーポレーションのニュースを流している。2つほどバラエティ番組だったが、上記のテロップに速報が書かれていた。
「これからどうなるのかしら?」
「ムショ行きは確定じゃない? 黒川コーポレーションも潰れるか、新しい社長が就任するか。ま、新社長が出てきたところで経営は厳しいだろうけどねぇ。ほら、さっそく子会社が傘下から抜けるって」
そう言って紅玲は千聖にスマホを手渡す。そこには彼の言う通り、子会社の社長が傘下から抜けると表明したという速報が表示されている。