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独占欲に捕らわれて*Regret
第5章 平穏へ
帰宅して玄関を開けるとただいまを言う間もなく、千聖が力いっぱいに彼を抱きしめる。
「もう、遅すぎ……。遅くなるなら、連絡くらいしなさいよね。どれだけ心細かったと思ってるの?」
今にも涙が零れそうなほど潤んだ瞳で見上げられ、罪悪感で胸が苦しくなる。
「本当にごめんね、チサちゃん。充電するの忘れちゃって、連絡できなかったんだ。ごめんなさい」
千聖の髪を撫でながら言うと、彼女をきつく抱きしめ、触れるだけのキスをする。それだけで千聖が満足するはずもなく、イラだたしげに短く息を吐くと、紅玲の首に腕を回す。

「寝室まで運んでちょうだい。今日は私が主導権握るんだから」
「覚悟しとくよ……」
紅玲は千聖をお姫様抱っこすると、靴を脱いで2階にある寝室に行く。移動中に千聖が何度もキスをしてきたり、耳や首筋に甘噛みしてくるせいで何度も立ち止まってしまったが、無事に寝室につくと彼女をベッドの上に下ろす。
「ベッドで横になるべきなのは、私じゃなくてあなたでしょう」
「そうだよねぇ……」
千聖の言う通りベッドの上で横になると、彼女が玩具箱を引っ張り出す音を聞きながら目を閉じる。

(あーぁ、相当怒らせちゃったし、今回は結構ハードに責められるんだろうなぁ……)
そんなことをぼんやり考えながら、大人しく手枷をつけられる。普段なら紅玲が主導権を握って千聖をよがらせているが、こうして怒らせてしまうと、彼女が主導権を握って紅玲はされるがままだ。
サディストの紅玲は責められるのは好きではない。大学時代の彼女のひとりがサディストで1度責めさせてみたことがあるが、苦痛でしかなかったためすぐにいつものセックスになったし、M男視点の小説を書くことになってSMクラブで女王様に責められた時もやはり快楽を見いだせず、ギブアップした。だが千聖が相手だと、責められるのも悪くない。むしろ気持ちいいくらいだ。

「んあぁっ!?」
突然耳を甘噛みされ、声が出てしまった。
「ねぇ、何か考え事してたでしょ? まだ私を放っておくつもり? そんなに酷いことされたいの?」
冷たい声で囁かれ、ゾクリと背筋が震える。すっかり調教されてしまったと自覚しながら、首を横に振る。
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