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独占欲に捕らわれて*Regret
第5章 平穏へ
「もしもし優奈、また誰かにフラレたの? 悪いけど今日は……」
『あぁ、千聖さん。優奈さんでなく斗真だよ。近くに紅玲はいるかい?』
「斗真!?」
驚きのあまり千聖の声が裏返り、斗真の名前を聞いて眉間にシワを寄せた紅玲は、千聖からスマホを取り上げ、自分の耳にあてる。
「トーマ、どうしてこんな時間にチサちゃんに電話してるわけ?」
『君が電話にも出なければ、LINEにも反応しないからだろう。そしてこんな時間に僕のスマホで千聖さんに連絡したら、君は怒りのあまり我を忘れ、僕を殺しに来るなりスマホにウイルスを送ってきたりするだろう。それに僕は、千聖さんの連絡先を知らない』
不機嫌を隠さずに言えば、淡々とした返事が返ってくる。斗真の言葉に、千聖が優奈と思い込んでいたことを思い出す。つまり、斗真は優奈のスマホを借りて連絡しているということになるが、ふたりが一緒にいる理由がどうも見えてこない。
「そーだね、トーマがチサちゃんの連絡先を知ってたら、スマホにウイルスは送るし、殺しに行くだろうね。で、どうしたの?」
『黒川グループの件が終わったら、君の父親に会わせてもらう約束だったろう』
「あー、そうだったね。少なくとも会う気はあるみたいだよ。後でトーマの都合のいい日伝えとくから教えてくれる?」
『どうしても週末になってしまうんだが……』
声音からして斗真が難しい顔をしているのが、容易に想像がつく。
「大丈夫、あの人今仕事してないだろうから時間あると思う。ま、一応ちゃんと伝えとくけど」
『あぁ、そうしてくれ。ではそろそろ切るよ』
通話が終わると、紅玲は千聖にスマホを返した。
「ねぇ、随分物騒な言葉が聞こえてきたんだけど」
「んー? トーマがチサちゃんの連絡先知ってたら殺すってだけだよ」
平然と恐ろしいことを言ってのける紅玲に、千聖は頭を抱える。
「それくらいでそんなことしないでちょうだい。あなたが親友を殺めるなんてとっても悲しいし、逮捕されて離れ離れになったら耐えられないわ」
「トーマもさすがにまだ死にたくないだろうし、チサちゃんの連絡先知ろうとしたりしないから大丈夫だよ。そんなことよりおなか空いちゃった……」
紅玲は自分のおなかをさすりながら言うと、ゆっくり立ち上がる。
『あぁ、千聖さん。優奈さんでなく斗真だよ。近くに紅玲はいるかい?』
「斗真!?」
驚きのあまり千聖の声が裏返り、斗真の名前を聞いて眉間にシワを寄せた紅玲は、千聖からスマホを取り上げ、自分の耳にあてる。
「トーマ、どうしてこんな時間にチサちゃんに電話してるわけ?」
『君が電話にも出なければ、LINEにも反応しないからだろう。そしてこんな時間に僕のスマホで千聖さんに連絡したら、君は怒りのあまり我を忘れ、僕を殺しに来るなりスマホにウイルスを送ってきたりするだろう。それに僕は、千聖さんの連絡先を知らない』
不機嫌を隠さずに言えば、淡々とした返事が返ってくる。斗真の言葉に、千聖が優奈と思い込んでいたことを思い出す。つまり、斗真は優奈のスマホを借りて連絡しているということになるが、ふたりが一緒にいる理由がどうも見えてこない。
「そーだね、トーマがチサちゃんの連絡先を知ってたら、スマホにウイルスは送るし、殺しに行くだろうね。で、どうしたの?」
『黒川グループの件が終わったら、君の父親に会わせてもらう約束だったろう』
「あー、そうだったね。少なくとも会う気はあるみたいだよ。後でトーマの都合のいい日伝えとくから教えてくれる?」
『どうしても週末になってしまうんだが……』
声音からして斗真が難しい顔をしているのが、容易に想像がつく。
「大丈夫、あの人今仕事してないだろうから時間あると思う。ま、一応ちゃんと伝えとくけど」
『あぁ、そうしてくれ。ではそろそろ切るよ』
通話が終わると、紅玲は千聖にスマホを返した。
「ねぇ、随分物騒な言葉が聞こえてきたんだけど」
「んー? トーマがチサちゃんの連絡先知ってたら殺すってだけだよ」
平然と恐ろしいことを言ってのける紅玲に、千聖は頭を抱える。
「それくらいでそんなことしないでちょうだい。あなたが親友を殺めるなんてとっても悲しいし、逮捕されて離れ離れになったら耐えられないわ」
「トーマもさすがにまだ死にたくないだろうし、チサちゃんの連絡先知ろうとしたりしないから大丈夫だよ。そんなことよりおなか空いちゃった……」
紅玲は自分のおなかをさすりながら言うと、ゆっくり立ち上がる。