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独占欲に捕らわれて*Regret
第5章 平穏へ
「ねぇ、またおイタしてくれてもいいのよ?」
「……やめとくよ。そんなことよりもう寝よ? チサちゃんが激しくシたから、まだ眠いよ」
「ふふ、いいわよ」
たまごがゆをかきこんでベッドに潜る紅玲を愛しく思いながら、千聖もベッドに潜り込み、彼の腕に収まる。
「おやすみ、チサちゃん」
「えぇ、おやすみなさい」
触れるだけのキスをすると、ふたりは規則正しい寝息を立て始めた。

翌朝、先に目を覚ました紅玲はスマホの電源を入れ、その間黒いシャツにジーンズとラフな格好に着替える。スマホをポケットに突っ込んで台所へ行き、朝食の準備をする。あらかた片付くと指定席に座わってスマホをチェックすると、斗真からの不在着信が2件とLINEが入っていた。LINEを開くと、昨晩電話で聞かれたことと同じことが書かれている。
「約束は守らなきゃねぇ」
ぽつりと呟くと、晶久の番号に電話する。時刻は8時13分。紅玲といた頃と生活リズムが変わっていなければ、新聞を呼んでいる時間だ。

『朝からどうした?』
4コール目で出た晶久は、少し眠そうな声で言う。
「おはよ、父さん。もしかしてまだ寝てた?」
『いや、さすがに起きていたがまだ少し眠いんだ。在宅ワーカーになってから、起きる時間が少し遅くなってな……』
(随分人間臭くなってきたな)
欠伸混じりに言う晶久の声を聞きながら、過去の父を思い出す。常に完璧で、紅玲の前では隙など見せなかった晶久が、こうして眠そうにしているのは新鮮だ。

「そっかぁ。ね、週末空いてる? トーマに会って欲しいんだけど」
『あぁ、それは構わないが、斗真くんは結局どんな用事で俺に会いたがってるんだ?』
「さぁ? オレは何も聞いてないから。土日どっちがいい?」
『それは斗真くんに合わせよう。決まったら連絡してくれ』
「オーケー、トーマに聞いとくよ。じゃあね」
電話を切ると、斗真に父からの伝言をLINEで知らせてスマホをしまった。調理に戻って朝食を完成させると、千聖を起こしに寝室へ行くのだった。
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