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独占欲に捕らわれて*Regret
第5章 平穏へ
その日の夕方、斗真から土曜日の2時過ぎにと連絡が入った。
「そういえば、場所とか聞いてなかったな……。うちでいっか」
めんどくさくなった紅玲は晶久と斗真のLINEグループを作ると、“土曜日14時過ぎ、うちに集合”と送った。
「紅玲、お義父様達の日程は決まった?」
「うん、来週土曜日の2時、うちでしてもらうことにしたよ。めんどくさくなって勝手に決めちゃったけど大丈夫? 嫌なら場所変えるけど」
「あのふたりなら気にしないわ。ねぇ、せっかくだからその日はケーキ買ってきてくれない? お客さんが来るんだし、ちょっと甘いもの食べたいわ」
千聖は紅玲の腕に抱きつきながら彼に寄りかかる。紅玲はあいている手で、千聖の艶やかな髪を撫でる。

「いいよ、買ってきたげる。何がいいか考えといてね」
「ありがと、紅玲」
紅玲の頬にキスをすると、千聖は紅茶を淹れに台所へ行く。ふたり分の紅茶を持ってリビングに戻ると、ふたりは並んでソファに座り、穏やかな時間を満喫した。

土曜日の午前9時、紅玲のスマホに着信が入る。ディスプレイを見ると“トーマ”と表示されている。
「どうしたんだろ?」
『もしもし、紅玲くん? 優奈だけど』
不思議に思いながら電話に出ると、意外な人物の声に危うくスマホを落としかける。

「何、ふたりの間ではスマホを交換して連絡するのが流行ってるわけ?」
『そんな変なこと流行ってないよ。ちょっと確認したいことがあって』
「確認ってなんの?」
『今日私も同行することになってるんだけど、斗真くんから聞いた?』
「え……?」
斗真からは父に会いたいとしか聞いておらず、優奈が来るなど寝耳に水だ。

『その感じだと聞いてないみたいだね……。今斗真くん忙しいからなぁ……。えっと、とりあえず私も行くから、今日はよろしくね。用はそれだけ』
「よく分かんないけど了解。きっとチサちゃんも喜ぶよ」
『うん、はやく千聖に会いたいな。じゃ、またね』
通話が終わると、洗濯干しから千聖が戻ってくる。
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