この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
独占欲に捕らわれて*Regret
第2章 紅玲の憂鬱
「どんな人だったの?」
「あの時は髪の毛ボサボサで、目がギョロっとしたおばあさんだったよ。ガリガリに痩せてたから、余計にオバケに見えちゃってさ……」
「それは小学生が見たらオバケって思ってもおかしくないわね……」
千聖は紅玲がいう老婆を想像しながら言う。いつの間にかオバケアパートのそばまで来ていて、アパートの前ではガラの悪い男達が、ひとりの中年男性を囲んでいる。
「何よあれ……」
「たぶん借金取り。囲まれてるの、父さんだよ」
「あの人が!?」
遠くて顔はよく見えないが、紅玲の話から想像していた人物とかなりかけ離れている。威厳に満ちたイメージだったが、男達に何度も頭を下げる姿は弱々しく、頼りなさげだ。
「チサちゃん、危ないからあそこのコンビニで待っててくれる?」
「どうするつもり?」
「お金あるから大丈夫だと思うけど、チサちゃんには念の為安全な場所にいて欲しいってだけ。だから、そんな不安そうな顔をしないで?」
「嫌よ。あなたに何かあったら私……」
千聖は今にも泣きそうな目で紅玲を見上げ、彼のコートを掴んだ。
「じゃあ通話繋げとくから、それ聞いて危なそうだったら警察に通報してくれる? これはチサちゃんにしかできないことだよ」
「うーん……。本当に、無理しないでよ?」
千聖は渋々コートを離し、紅玲は彼女の頭を撫でる。
「大丈夫、できるだけ穏便に済ませるから」
紅玲は安心させようと笑いかけると、千聖のスマホに電話をかける。千聖のスマホが震え、彼女は電話に出るとイヤホンを繋いだ。
「じゃあ行ってくるよ」
「気をつけてね……」
紅玲を見送ると、千聖は言われた通りに近くのコンビニに入った。立ち読みするフリをして、オバケアパートへ向かう紅玲を見守る。
紅玲はアタッシェケースを持ち直すと、彼らに近づいた。
「おいオッサン、これだけじゃ利子にもなんねーって何回言えば分かんだよ!」
金髪の男が、晶久の腹を殴る。
「ぐはぁっ! い、今は稼ぎが……」
「そんなの知るかよ。臓器売ってでも揃えろや! ……あ?」
「やぁ、お兄さん達。いい天気だねぇ」
紅玲は晶久に殴りかかる男の腕を掴むと、この場には似合わない笑顔で言う。
「あの時は髪の毛ボサボサで、目がギョロっとしたおばあさんだったよ。ガリガリに痩せてたから、余計にオバケに見えちゃってさ……」
「それは小学生が見たらオバケって思ってもおかしくないわね……」
千聖は紅玲がいう老婆を想像しながら言う。いつの間にかオバケアパートのそばまで来ていて、アパートの前ではガラの悪い男達が、ひとりの中年男性を囲んでいる。
「何よあれ……」
「たぶん借金取り。囲まれてるの、父さんだよ」
「あの人が!?」
遠くて顔はよく見えないが、紅玲の話から想像していた人物とかなりかけ離れている。威厳に満ちたイメージだったが、男達に何度も頭を下げる姿は弱々しく、頼りなさげだ。
「チサちゃん、危ないからあそこのコンビニで待っててくれる?」
「どうするつもり?」
「お金あるから大丈夫だと思うけど、チサちゃんには念の為安全な場所にいて欲しいってだけ。だから、そんな不安そうな顔をしないで?」
「嫌よ。あなたに何かあったら私……」
千聖は今にも泣きそうな目で紅玲を見上げ、彼のコートを掴んだ。
「じゃあ通話繋げとくから、それ聞いて危なそうだったら警察に通報してくれる? これはチサちゃんにしかできないことだよ」
「うーん……。本当に、無理しないでよ?」
千聖は渋々コートを離し、紅玲は彼女の頭を撫でる。
「大丈夫、できるだけ穏便に済ませるから」
紅玲は安心させようと笑いかけると、千聖のスマホに電話をかける。千聖のスマホが震え、彼女は電話に出るとイヤホンを繋いだ。
「じゃあ行ってくるよ」
「気をつけてね……」
紅玲を見送ると、千聖は言われた通りに近くのコンビニに入った。立ち読みするフリをして、オバケアパートへ向かう紅玲を見守る。
紅玲はアタッシェケースを持ち直すと、彼らに近づいた。
「おいオッサン、これだけじゃ利子にもなんねーって何回言えば分かんだよ!」
金髪の男が、晶久の腹を殴る。
「ぐはぁっ! い、今は稼ぎが……」
「そんなの知るかよ。臓器売ってでも揃えろや! ……あ?」
「やぁ、お兄さん達。いい天気だねぇ」
紅玲は晶久に殴りかかる男の腕を掴むと、この場には似合わない笑顔で言う。