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独占欲に捕らわれて*Regret
第2章 紅玲の憂鬱
「な、なんだテメェ」
「やんのかよ!」
男達は驚いて一瞬固まるが、すぐに声を荒らげる。
「紅玲!? こんなところでなにしてるんだ……」
晶久は目を丸くして紅玲を見つめる。
「なんだよ、おっさんの知り合いか?」
「そうだよ、その人の可愛くないひとり息子。父さんがどれくらい借金したか知らないけどさぁ、今日はこれで帰ってもらえない?」
紅玲は男の手を離すと、アタッシェケースを手渡した。男はすぐさまアタッシェケースを開けると、紅玲を見る。
「へぇ、兄ちゃん結構金持ってんだな。ま、兄ちゃんに免じて今日のところは帰ってやるよ」
「話が分かる人でよかった。名刺なかんかもらえる? あとで全額返しに行くから」
そう言って紅玲が手を出すと、男達は顔を見合わせ、金髪の男が名刺を渡した。
「そのおっさんがうちでしてる借金、利子ふくめて1200万ちょい。はやく来た方がいいぞ、うちは利子が1日2万円だからよ」
男達は下品な笑い声を上げてその場から去った。
「何しに来たんだ? 落ちぶれた俺を笑いに来たか?」
晶久は自嘲しながら言う。
「まさか。それならあいつらにお金なんか渡さないよ」
紅玲は男達が車で去ったのを確認すると、スマホを耳にあてる。
「チサちゃん、こっちに来てもらっていい? ……うん、怪我はしてないよ。……それじゃあ、また」
電話を切ると、晶久に手を差し伸べる。晶久はその手を掴み、ゆっくり立ち上がる。
「何しに来た? こんなところまで……。俺にはもう、何もない」
「助けに来たんだよ」
「はっ、今更何を……」
「会社はなくなってたけど、父さんはまだ生きてる。父さんからすれば今更かもしれないけど、オレにとってはそうじゃないから」
紅玲が真っ直ぐ目を合わせて言うと、晶久は目を伏せた。
「紅玲!」
千聖は紅玲に駆け寄ると、心配そうに彼の顔を見上げる。
「やっほ、チサちゃん。さっきぶり」
「あなたってたくましいわね……」
笑顔で手を振る紅玲に、千聖は失笑する。
「やんのかよ!」
男達は驚いて一瞬固まるが、すぐに声を荒らげる。
「紅玲!? こんなところでなにしてるんだ……」
晶久は目を丸くして紅玲を見つめる。
「なんだよ、おっさんの知り合いか?」
「そうだよ、その人の可愛くないひとり息子。父さんがどれくらい借金したか知らないけどさぁ、今日はこれで帰ってもらえない?」
紅玲は男の手を離すと、アタッシェケースを手渡した。男はすぐさまアタッシェケースを開けると、紅玲を見る。
「へぇ、兄ちゃん結構金持ってんだな。ま、兄ちゃんに免じて今日のところは帰ってやるよ」
「話が分かる人でよかった。名刺なかんかもらえる? あとで全額返しに行くから」
そう言って紅玲が手を出すと、男達は顔を見合わせ、金髪の男が名刺を渡した。
「そのおっさんがうちでしてる借金、利子ふくめて1200万ちょい。はやく来た方がいいぞ、うちは利子が1日2万円だからよ」
男達は下品な笑い声を上げてその場から去った。
「何しに来たんだ? 落ちぶれた俺を笑いに来たか?」
晶久は自嘲しながら言う。
「まさか。それならあいつらにお金なんか渡さないよ」
紅玲は男達が車で去ったのを確認すると、スマホを耳にあてる。
「チサちゃん、こっちに来てもらっていい? ……うん、怪我はしてないよ。……それじゃあ、また」
電話を切ると、晶久に手を差し伸べる。晶久はその手を掴み、ゆっくり立ち上がる。
「何しに来た? こんなところまで……。俺にはもう、何もない」
「助けに来たんだよ」
「はっ、今更何を……」
「会社はなくなってたけど、父さんはまだ生きてる。父さんからすれば今更かもしれないけど、オレにとってはそうじゃないから」
紅玲が真っ直ぐ目を合わせて言うと、晶久は目を伏せた。
「紅玲!」
千聖は紅玲に駆け寄ると、心配そうに彼の顔を見上げる。
「やっほ、チサちゃん。さっきぶり」
「あなたってたくましいわね……」
笑顔で手を振る紅玲に、千聖は失笑する。