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独占欲に捕らわれて*Regret
第2章 紅玲の憂鬱
「ありがとう、チサちゃん。助かったよ」
紅玲は紙袋をまとめて持つと、車に詰め込んだ。
「行ってらっしゃい、気をつけて」
「行ってきます」
千聖の頬にキスをすると、紅玲は車を走らせた。
「さてと、私も行きますか」
紅玲の車が見えなくなると、千聖は買い物をしに出かける。

「まずは、まともな会社から返して回ったほうがいいかな……? それとも嫌な方を先に片付けるか……」
紅玲は運転しながら返していく順番を決めていく。出来れば闇金会社の事務所には行きたくなかった。

紅玲は以前、千聖の兄が闇金で借りた借金を肩代わりして返済したことがある。その時は100万円と額は少なめだったので、物怖じすることなく完済した。
だが今回の場合、額があまりにも違いすぎる。どの会社も利子含めて1000万円を越えており、どれだけ水増しされるかわかったものではない。

「とっとと終わらせて、チサちゃんとケーキ食べたい……」
現実逃避の妄想をしながら、紅玲は闇金会社から少し離れた有料駐車場に車を止めた。考えた結果、嫌なことを先に済ませてしまうことにしたのだ。
(少し多めに入ってるし、予備に500万円ある。ある程度は飲んで、あまりにも酷かったら、ノートのコピーを突きつけて弁護士や警察をチラつかせればいい)
最終手段があることを自分に言い聞かせると、紅玲は札束が入った紙袋を持って車から降りた。

その頃千聖は、近くのスーパーでケーキの材料を買い集めていた。
「うーん、どっちがいいかしら?」
千聖は2種類のホイップクリームを前に、頭を悩ませる。普通のホイップクリームにするか、チョコホイップクリームにするかで迷っている。

「この前は普通のでやったし、チョコにしましょうか」
そう言って既製品のチョコホイップクリームを2箱、買い物かごに入れた。かごの中には既に真っ赤な苺が入っている。

「あとは……スポンジ買っておしまいね」
ホイップクリームの隣にあるスポンジケーキをかごに入れると、千聖はレジに並んだ。本当は生地を焼きたいところだが、そこまで気持ちの余裕がない。
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