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独占欲に捕らわれて*Regret
第2章 紅玲の憂鬱
「鍵閉めて大丈夫なの? 紅玲くん、出かけてるんじゃない?」
「合鍵持っていってるし、閉めない方が不用心だって怒られると思うからいいのよ。ところで何飲む?」
「愛されてるなぁ、千聖は。えーっとね、珈琲もらえる?」
「え?」
想定外の注文に、千聖の声はうわずる。いつもはミルクティーかココアを飲みたがり、珈琲は苦いから嫌だと言っていた優奈が、珈琲を頼む日が来るだなんて思ってもみなかった。
「この前飲んでみたら意外と美味しくて。あ、もちろんミルクと砂糖は必須だけどね」
優奈が付け足すようにいうと、千聖は吹き出した。
「よかったわ、ブラックがいいなんて言われなくて。用意してくるから、リビングで待っててくれる?」
「はーい」
千聖は台所へ行くとふたり分のインスタント珈琲を作り、ミルクポーションとスティックシュガーを3つずつトレーにのせる。冷蔵庫からケーキを取り出すと、それらをリビングに運ぶ。
「おまたせ」
「わぁ、美味しそう!」
( 見た目がガラリと変わっても、甘党なのは変わらないのね)
ケーキに目を輝かせる優奈を見て、千聖は内心安堵する。
「それで、どうしたの? 色々と」
「うーん、なんて言えばいいんだろ? 現実に戻ってこようとしてるっていうか、現実と向き合おうとしてるっていうか……」
優奈はミルクポーションとスティックシュガーを混ぜながら、言葉を選ぶように話し始める。
「向き合うって?」
「私ね、本当は千聖みたいにスーツが似合って、バリバリ仕事こなせちゃうカッコいい女性に憧れてたんだよね。でもさ、私童顔だし背も低いから、似合わなくて……。千聖とお揃いで買ったパンツスーツ着て鏡の前に立ったら落ち込んだし、街ですれ違いざまに笑われちゃったりしてたの」
「優奈……」
千聖は彼女にどう言葉をかけていいのか分からず、振り絞るように名前を呼ぶ。
「本当はね、ロリータファッションは高校生で卒業しようと思ってたんだ。でも、フリルいっぱいのワンピースは、スーツよりも着心地がよくて手放せなかったの。皆可愛いって言ってくれるし、大抵のワガママだって許される気がしてたから」
「合鍵持っていってるし、閉めない方が不用心だって怒られると思うからいいのよ。ところで何飲む?」
「愛されてるなぁ、千聖は。えーっとね、珈琲もらえる?」
「え?」
想定外の注文に、千聖の声はうわずる。いつもはミルクティーかココアを飲みたがり、珈琲は苦いから嫌だと言っていた優奈が、珈琲を頼む日が来るだなんて思ってもみなかった。
「この前飲んでみたら意外と美味しくて。あ、もちろんミルクと砂糖は必須だけどね」
優奈が付け足すようにいうと、千聖は吹き出した。
「よかったわ、ブラックがいいなんて言われなくて。用意してくるから、リビングで待っててくれる?」
「はーい」
千聖は台所へ行くとふたり分のインスタント珈琲を作り、ミルクポーションとスティックシュガーを3つずつトレーにのせる。冷蔵庫からケーキを取り出すと、それらをリビングに運ぶ。
「おまたせ」
「わぁ、美味しそう!」
( 見た目がガラリと変わっても、甘党なのは変わらないのね)
ケーキに目を輝かせる優奈を見て、千聖は内心安堵する。
「それで、どうしたの? 色々と」
「うーん、なんて言えばいいんだろ? 現実に戻ってこようとしてるっていうか、現実と向き合おうとしてるっていうか……」
優奈はミルクポーションとスティックシュガーを混ぜながら、言葉を選ぶように話し始める。
「向き合うって?」
「私ね、本当は千聖みたいにスーツが似合って、バリバリ仕事こなせちゃうカッコいい女性に憧れてたんだよね。でもさ、私童顔だし背も低いから、似合わなくて……。千聖とお揃いで買ったパンツスーツ着て鏡の前に立ったら落ち込んだし、街ですれ違いざまに笑われちゃったりしてたの」
「優奈……」
千聖は彼女にどう言葉をかけていいのか分からず、振り絞るように名前を呼ぶ。
「本当はね、ロリータファッションは高校生で卒業しようと思ってたんだ。でも、フリルいっぱいのワンピースは、スーツよりも着心地がよくて手放せなかったの。皆可愛いって言ってくれるし、大抵のワガママだって許される気がしてたから」