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独占欲に捕らわれて*Regret
第3章 真相探求
「さてと、頼んだからには、少しでもトーマの役に立っとかないとねぇ」
紅玲は今までまとめたクレアシオンホールディングスと黒川コーポレーションの情報を、斗真に送る。
「あ……」
千聖がケーキを作っていてくれたことを思い出し、台所へ行く。冷蔵庫を開けると苺がのったチョコケーキのホールに、ラップがしてある。紅玲は紅茶を淹れると、ケーキと一緒に書斎へ持っていく。

「状況証拠はそれなりに揃ってる……って、言っていいのかな? これは」
ケーキを食べながら、紅玲は斗真に送ったものと同じ資料を見る。折れ線グラフで2社の売上が示されている。クレアシオンホールディングスの売上が下がれば下がるほど、黒川コーポレーションの売上が上がっていく。クレアシオンホールディングスから子会社が抜ければ、黒川コーポレーションの売上が上がる。この折れ線グラフを見れば見るほど、作為を感じてならなかった。

「はぁ、やっぱりトーマ頼りになっちゃうなぁ……」
紅玲は肩を落とすと、ホイップ多めのケーキを頬張った。
「チサちゃんに会いたい……」
紅玲は無意識にスマホを手に取り、千聖とのトークルームを開いていた。
「重症だなぁ……」
苦笑しながら、千聖に“そっちに行きたいんだけど、どこにいるの?”と送る。すぐに既読がつき、居酒屋の名前だけの返信が来た。

「怒ってるかな?」
言葉とは裏腹に紅玲の口角があがる。コートを羽織って財布とスマホをポケットにねじ込むと、千聖のいる店へ向かった。 その店は家から徒歩5分のところにある。店に入ると紅玲に気づいた男性店員が、にこやかに近づいてくる。
「いらっしゃいませー。奥様ならあちらの席ですよ」
「ありがと、松本くん」
この店には週に1回は来ているため、ふたりは店員達に知られている。特にこの松本というとても気さくな青年は、よく話をする。

「チサちゃん、まだ呑む?」
「えぇ、まだ呑み足りないわ」
紅玲が向かいの席に座ると、千聖は不機嫌そうに言ってビールジョッキをカラにする。
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