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独占欲に捕らわれて*Regret
第3章 真相探求
「離れ離れって……ほんの数時間じゃないのよ」
「チサちゃんは寂しくないわけ?」
紅玲は不安に揺れる瞳で、千聖を見つめる。
(仕方ないわね……)
千聖は背伸びをすると、触れるだけのキスをした。

「チサちゃん?」
「私だって寂しいけど、今回ばかりは仕方ないわよ。一生会えないってわけじゃないんだから、そんな顔しないの」
「……そうだね。ね、これが終わったら、ふたりで旅行行こうよ。誰にも邪魔されず、ふたりでゆっくりしたいな」
ようやく前向きになった紅玲は水を飲み干した。
「いいわね、楽しみにしてるわ。旅行を楽しむためにも、はやく寝てはやく終わらせましょう」
「そうだね、オレももう眠い……。寝室に行こうか、お姫様」
紅玲はおどけた口調で言うと、千聖をお姫様抱っこして寝室に運んだ。

翌朝、千聖が目を覚ますと紅玲の姿が見当たらない。寝室のドアを開けると、香ばしい焼き魚の匂いがする。
「今日は和食ね」
着替えて洗面所へ行き、顔を洗う。台所に行くと、鮭の塩焼き、味噌汁、ほうれん草のおひたしが並んでいる。
「おはよう、紅玲」
「おはよ、チサちゃん。もうちょっとでごはん炊きあがるから、お茶飲んで待ってて」
紅玲はペアルックの湯のみに緑茶を注ぐと、千聖の前に置く。

「ありがとう」
息を吹きかけて冷まして飲めば、わずかに残っていた眠気が溶けていく。
「はい、お待ちどうさま」
紅玲はそれぞれの前にごはんを置くと、千聖の向かいに座った。
「ありがとう、いただきます」
「いただきます」
ふたりは朝食を食べながら、今日の予定を確認し合った。

朝食を終えてふたりで食器を洗うと、いたわるようにハンドクリームを塗り合う。
「じゃあ着替えてくるね」
「もう着替えてるじゃないの」
千聖は不思議そうに紅玲を見上げる。いつもは赤と黒で統一されたヴィジュアル系の服を着ているが、今日は白いワイシャツに黒のスラックス姿だ。
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