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独占欲に捕らわれて*Regret
第3章 真相探求
「ここだよ」
「あら近く」
ふたりは店に入ると、店員に案内された窓際の席に座る。
「好きなの頼んで。オレはもう決まってるから」
紅玲はメニュー表を開くと、千聖の前に置いた。

「ありがとう」
ページをめくると聞きなれない料理名が多いが、写真付きで分かりやすい。安堵しながら見ていく。
(グリッシーニとかブルスケッタとか、呪文みたい)
不思議に思いながら料理名を見ていると、隣で足音が止まった。

「紅玲……?」
「久しぶり、斗真。よく分かったね」
ふたりの会話に顔を上げれば、目を丸くして紅玲を見る斗真が立っている。
「千聖、斗真が一緒でいい?」
「えぇ、構わないわ」
「よかった。なら、斗真はこっちに座って。オレは千聖の隣に座る」
紅玲は立ち上がると千聖の隣に座り、斗真はふたりの向かいに座る。

「まるで高校時代に戻ったようだな」
「懐かしいだろ?」
ふたりはどちらからともなく笑い合う。
「昔の紅玲って、こんな感じだったの?」
千聖は斗真にメニュー表を差し出しながら言う。
「もっと無口で真面目な少年だったよ。体育の授業は剣道以外サボってはいたけどね」
「想像つかないわ……」
千聖は紅玲をまじまじと見ながら言う。紅玲はバツが悪そうに、そっぽを向いてしまう。

「父さんに抑圧され続けた結果だよ。同級生と口聞くな、勉強だけしてろって。その結果、ガリ勉の斗真しか友達がいなかった」
「そう……」
なんと返していいのか分からず、千聖は俯く。
「抑圧された反動でこうしてグレたりもしたけど、剣道は強かったんだ。皆紅玲のことを戦闘狂と呼んでいたと言えば、だいたい想像つくんじゃないかな」
「戦闘狂……」
目をギラつかせながら、楽しそうに竹刀を振るう紅玲は、安易に想像できた。

「はやく決めてよ。おなか空いた」
「それはすまないことをしたな」
斗真はパラパラとページをめくると、店員を呼び止めた。それぞれ注文すると、すぐに飲み物だけが運ばれてくる。
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