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独占欲に捕らわれて*Regret
第3章 真相探求
「こんばんは、お義父さま」
「あぁ、こんばんは」
千聖が振り返ってにこやかに挨拶をすると、晶久は呆然としながらも挨拶を返す。紅玲はバックミラーでチラリと晶久を見ると、車を走らせる。

「父さんには今日から、ウィークリーマンションで過ごしてもらう」
「は……?」
唐突な話に、晶久は間の抜けた声を出す。
「アパートの管理人には、オレの方から話をつけといたから、心配することは何もないよ」
「そうか……。何から何まですまないな……」
「別にいいよ、自分で決めてやってるんだから」
紅玲の言い方にはトゲがあり、車内には重々しい空気が流れる。

(はぁ、はやくつかないかしら……)
居心地の悪さを覚えた千聖は、内心ため息をついた。
「お前は俺と違って、律儀に育ったな……」
「素晴らしい反面教師のおかげでね」
晶久がしみじみ言うと、紅玲はピシャリと言い返す。さすがに言い過ぎだと思った千聖が彼を咎めようとすると、晶久が笑いだした。

「確かにお前の言う通りだ。そうやって言ってくれた方が、俺も気が楽だ」
「あっそ」
紅玲はうんざりしたように言うと、アクセルを踏み込んだ。

「スピード違反よ」
「ダメ?」
「ダメ」
千聖に注意され、紅玲は渋々スピードを落とした。それから車内はウィークリーマンションにつくまで、重苦しい無言が続いた。

ウィークリーマンションについて千聖が降りようとすると、紅玲が腕を掴んで止めた。
「すぐに戻るから、待ってて。疲れてるでしょ?」
「あら、お気遣いありがとう。でも大丈夫よ」
千聖は紅玲の腕を振りほどき、車から降りる。

ふたりで晶久を部屋に案内する。晶久はリビングにボストンバッグを置くと、室内を見回した。
「いい部屋だな。本当にいいのか?」
「当たり前だろ? 父さんのために用意したんだから。ある程度は千聖が買ってくれたけど、足りないものは自分で買って。あとこれ、オレの連絡先は入れておいたから」
紅玲は白いスマホと数万円を置くと、玄関へ行く。
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