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独占欲に捕らわれて*Regret
第4章 反撃開始
「あぁ、そうだよ。今夜にでも連絡が来ると思うけど」
「まさかそこまで大事になっていたとは……。本当に危険なことはしてないんだろうな?」
「してないってば。最近黒川の接待をしてて、うんざりしてるらしーよ」
険しい顔で問い詰める晶久に、紅玲は適当に理由を考えて答える。

「本当に、それだけか?」
「なぁに? オレがトーマを脅して協力させてるとでも?」
「そんなことを疑ってるわけじゃない。ただ、心配なんだ。俺なんかのために、危険なことをして何かあったら……」
「案外心配性なんだねぇ。オレもトーマもチサちゃんも、善良な一般市民だよ」
紅玲は晶久の言葉を遮ると、笑ってみせた。

「それならいいんだが……」
「納得してくれたようで何よりだよ。それじゃあ、オレはそろそろ帰るよ。念の為、さっきのメモ帳はスクショして送っといて」
「あぁ、分かった……。気をつけて帰るんだぞ」
「はーい」
見送りの言葉に一瞬だけ目を丸くするも、いつもの余裕のある笑みで返事をすると、紅玲は部屋を出て車に乗った。

「気をつけて、か……。そうやって見送られたの、初めてだなぁ……。チサちゃんにケーキでも買って帰ろっと」
紅玲は上機嫌に言うと、カーナビで近くのケーキ屋を探すのだった。

その頃千聖は、まだベッドに横になっていた。起きた時よりもだいぶ回復してきたとは言え、だるさが抜けずにいる。
「そろそろ……着替えだけでもしとかないと……」
そう呟くと、ゆっくり起き上がって化粧台の鏡を見る。首筋にはキスマークがいくつもついており、とても人前に出られる状態ではない。
「まぁ人前になんて、滅多に出ないんだけどね」
千聖は小さく笑い、自分の言葉に固まる。

「そういえば、結婚してからひとりで外に出るなんて、昨日の買い物が初めてだったわ……」
独占欲の強い紅玲は、千聖を外に出したがらない。仮に外に出したとしても、紅玲も一緒だ。親友の優奈とふたりで遊びに行くことさえ、許されていない。
思えば千聖が仕事を辞めたのも、彼の異常愛に感化されてのことだ。
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