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独占欲に捕らわれて*Regret
第4章 反撃開始

「ありがと、チサちゃん。いちご食べる?」
紅玲はいちごをひとつフォークに刺すと、千聖の口元へ持っていく。
「そういうのはふたりでやってくれないか?」
斗真は咳払いをすると、冷たい視線を紅玲に向けながら言う。
「残念……」
紅玲は心底残念そうに言うと、チーズケーキの上にいちごを置いた。
「さっそく本題に入らせてもらう。黒川は色々話してくれたよ。長々と話してるから、家で編集してきた」
斗真は小さなポーチを開けると、赤と青のUSBメモリをテーブルの上に並べる。
「赤が編集なしで、青が編集した方だ」
「とりあえず、青から聞いてみようか」
紅玲は青のUSBメモリを差し込むと、音声データを再生した。
『いやぁ、クレアシオンホールディングスが潰れて以来、毎日酒が美味いが、今夜は格別だなぁ』
明らかに酔っ払い、呂律が回り切らない黒川が上機嫌に言う。
『クレアシオン倒産のあとは、黒川コーポレーションの調子はいいですからね』
話を合わせる斗真の声は、どこか白々しい。
『君、口が固そうだな。内緒話は守れる方だろう』
『えぇ、もちろんです。信用に関わりますからね』
斗真が真面目に答えると、黒川が下卑た笑い声を上げる。
『君のような堅物は、社会人として素晴らしいと私は思うね。まぁ、恋愛はうまくいかんだろうがな』
「最低……」
黒川の言葉に怒りを滲ませたのは、千聖だ。
「ここはまだ、可愛いほうさ」
当時のことを思い出しているのか、斗真は眉間に皺を寄せながら言う。
『実はだな、クレアシオン倒産は私の計画なんだよ』
黒川は、声高らかに衝撃的な事実を言う。
「嘘でしょ!?」
「やっぱりね……」
千聖は驚き、紅玲は納得してパソコンを見つめる。
『それはすごい! あんな大手企業、どうやって潰したんですか?』
驚くふりをする斗真に、黒川は得意げに笑った。
『結論から言えば、金だよ。まずは子会社から、広報部の奴に金を握らせて横領させたんだ。鈴宮はそんなことも知らずに、不正したからと傘下から外した。まったく、バカな男だ』
(最低! 紅玲は、どう思ってるのかしら?)
千聖がそっと紅玲を盗み見ると、顔はいつも通り余裕のある笑みを浮かべているが、膝の上の拳は怒りに震えている。
紅玲はいちごをひとつフォークに刺すと、千聖の口元へ持っていく。
「そういうのはふたりでやってくれないか?」
斗真は咳払いをすると、冷たい視線を紅玲に向けながら言う。
「残念……」
紅玲は心底残念そうに言うと、チーズケーキの上にいちごを置いた。
「さっそく本題に入らせてもらう。黒川は色々話してくれたよ。長々と話してるから、家で編集してきた」
斗真は小さなポーチを開けると、赤と青のUSBメモリをテーブルの上に並べる。
「赤が編集なしで、青が編集した方だ」
「とりあえず、青から聞いてみようか」
紅玲は青のUSBメモリを差し込むと、音声データを再生した。
『いやぁ、クレアシオンホールディングスが潰れて以来、毎日酒が美味いが、今夜は格別だなぁ』
明らかに酔っ払い、呂律が回り切らない黒川が上機嫌に言う。
『クレアシオン倒産のあとは、黒川コーポレーションの調子はいいですからね』
話を合わせる斗真の声は、どこか白々しい。
『君、口が固そうだな。内緒話は守れる方だろう』
『えぇ、もちろんです。信用に関わりますからね』
斗真が真面目に答えると、黒川が下卑た笑い声を上げる。
『君のような堅物は、社会人として素晴らしいと私は思うね。まぁ、恋愛はうまくいかんだろうがな』
「最低……」
黒川の言葉に怒りを滲ませたのは、千聖だ。
「ここはまだ、可愛いほうさ」
当時のことを思い出しているのか、斗真は眉間に皺を寄せながら言う。
『実はだな、クレアシオン倒産は私の計画なんだよ』
黒川は、声高らかに衝撃的な事実を言う。
「嘘でしょ!?」
「やっぱりね……」
千聖は驚き、紅玲は納得してパソコンを見つめる。
『それはすごい! あんな大手企業、どうやって潰したんですか?』
驚くふりをする斗真に、黒川は得意げに笑った。
『結論から言えば、金だよ。まずは子会社から、広報部の奴に金を握らせて横領させたんだ。鈴宮はそんなことも知らずに、不正したからと傘下から外した。まったく、バカな男だ』
(最低! 紅玲は、どう思ってるのかしら?)
千聖がそっと紅玲を盗み見ると、顔はいつも通り余裕のある笑みを浮かべているが、膝の上の拳は怒りに震えている。

