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独占欲に捕らわれて*Regret
第4章 反撃開始
「ふふっ、なんかちょっとテンション上がってるかも」
千聖は楽しそうに言うと、紅玲に抱きつきなおす。
「オレも。さすが、非日常の愛をコンセプトにしてるだけあるよねぇ」
「それだけじゃないでしょ? この部屋には思い出があるもの」
「思い出と言えば、猫足バスタブの部屋もなかなかよかったなぁ」
「あぁ、あのお姫様の部屋みたいなところね。あの部屋もまた行きたいわね」
「じゃあ今度行こっか」
「えぇ、行きましょう」
ふたりが約束をしたところで、お湯が流れる音が止まった。

「沸いたみたい」
「そういえば、ここのお風呂はふたりで入るのは初めてだよねぇ」
紅玲は懐かしむように目を細める。当時は千聖は嫌々ホテルに来たため、そっけない態度を取られ続けた上に混浴を断固拒否されたのだ。
「だって、あの頃は仕方なくだったんですもの」
「知ってる。今は違うのもね」
紅玲はそう言って千聖を抱き上げると、風呂場前まで行く。服を脱いで風呂場に入ると、黒い石造りの床に檜で出来た壁と浴槽と本格的だ。

「なんちゃって旅行に最適よね」
「あっはは、確かに」
ふたりは冗談めかして言うと、髪や躯を洗いあって湯船に浸かる。
「なんだか不思議……。ここに初めて来たのが昨日のことのように思い出せるわ」
「あれから2年半も経つんだ……。はやいなぁ……」
紅玲が感慨深げに言うと、千聖が吹き出した。

「もう、年寄りみたいな言い方しないでよ。笑っちゃうじゃない」
「もう既に笑ってるでしょ……。あの時は必死だったんだよ? どうしたらチサちゃんが振り向いてくれるのかって。絶対好きになったと思っても本人は自覚ないし……」
紅玲は少しむくれながら言う。子供っぽいところも愛おしいと、千聖は小さく笑った。
「あの頃は、好きって気持ちを理解出来てなかったんだと思うわ。恋愛なんて、弱い人間がするものだってバカにしてた部分もあったしね」
「それで荒治療したのも、今はいい思い出だよ」
「そうね、死ぬほど怖かったし、嫉妬で気が狂いそうになったけど」
千聖は言い終えると、小さく息を吐く。
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