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独占欲に捕らわれて*Regret
第4章 反撃開始
「ま、その分高いけどね」
「いくらなの?」
「ヒ・ミ・ツ。そんなことより、縛って吊るしていい?」
紅玲が天井を指さしながら言うので見上げると、天井には滑車やフックが複数ついている。

「届かないでしょ……」
「そのための脚立だよ」
「脚立?」
「ほら、そこ」
紅玲が指さした先には、赤く塗装された脚立が置いてある。

「で、でもこういうのって知識とか必要だろうし……」
「大学時代、官能作品の依頼が多かった時期があってねぇ。丁度いいことに、緊縛サークルがあったから、そこで学んでたんだよ。今だって時々、マネキンで練習してるんだよ?」
「さすがは知識と経験が豊富なシネノミネ先生ね……」
知られざる紅玲の経歴に、千聖はひきつり笑いをする。

「嫌ならしないよ。チサちゃんが嫌がるようなことはしたくないし」
「別に嫌ってわけじゃないわ。ちょっと怖かっただけ。でも、今の話を聞く限り、大丈夫そうね」
「じゃあ、縛らせてくれるの?」
「……えぇ、いいわよ」
「ありがと、チサちゃん! 愛してる!」
千聖がためらいがちに了承すると、紅玲は子供のように目を輝かせて千聖を抱きしめる。

(まさかこんなに喜ばれると思ってなかったわ……)
若干の困惑と不安を抱く千聖をよそに、紅玲は縄が入っている引き出しを開けて真剣に選ぶ。
「普通のでもいいけど、チサちゃんは色白だから赤でもいいし……。黒だったら襦袢と肌の両方際立たせることができそう……。うーん、悩むなぁ……」
「随分真剣に悩んでるのね……」
千聖が若干呆れ気味に言うと、紅玲は勢いよく振り向く。

「当たり前でしょ? 10分しかできないんだから。それに記念すべき初縛りなんだから、慎重にもなるよ」
「え? 10分?」
「普通の緊縛だって負担がかかるのに、吊るしたら余計にかかるからねぇ。長時間やったら、エコノミー症候群になりかねないよ。吊り責めで死亡事故が起きたことだってあるから、長くて10分が基本だね」
「え……」
次々と並べられる物騒な言葉に、千聖は思わず後ずさりをする。
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