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ハイパーテクニックおじいちゃん
第11章 決戦
「何の冗談だい?」
寛は明らかに困惑していた。
「冗談でなく本気です。私を抱いて下さい」
寛は下を向き、表情が険しくなる。
「美里ちゃん、俺、金持ってないぞ」
売春か何かと勘違いされてしまったか……。
「お金は必要ないです」
「年寄りだと思って。……からかってるんじゃないのか」
いつものような優しい声音ではなく、低い声で話す寛に、少し恐怖を感じた。
自分の騙し討ちの様な行動は、やはり間違いだったか……。
美里は、涙ぐみながら懇願する。
「違います。私、寛さんに抱かれたい……」
寛が顔を上げ、美里を真っ直ぐに見た。
次の瞬間、美里をきつく抱きしめた。
そして、耳元で囁く。
「美里、こうされたかったのか?」
「……はい」
いきなり抱きしめられ、腰が引けていた美里だったが、返事と共に身を委ねた。
二人は一分程、抱き合った。

体を離すと、いつもの優しい寛に戻った。
「美里ちゃんゴメンよ。恥をかかせてしまったね。本当に俺でいいのかい?」
「はい、寛さんがいいんです」
寛がニコッと笑顔を見せる。
「じゃあ俺も、シャワーを浴びてもいいかね? 仕事終わりだから汗かいちまった」
「はい」
美里は再び部屋の奥へ行き、新しいバスタオルを持ってきて、寛に手渡した。

寛がシャワーを浴びている間、美里は先程抱きしめられた温もりを思い出す。
汗まみれの高齢男性の香りは、若い男性に感じるような青臭さはまるで無く、熟しきった様な甘い香りがした。


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