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ハイパーテクニックおじいちゃん
第14章 外食
注文した熱燗と、おでんとお刺身が来た。
タイミングを見計らって、美里は切り出した。
「実は私、今の部屋から引っ越しする事にしたんです」
「えっ」
寛は、上手く状況を読み込めないといった表情で美里を見た。
「引っ越し?」
「はい。家賃更新しないで、引っ越す事にしたんです」
「いつ引っ越すんだい?」
「再来週です」
美里が答えると、寛は伏し目がちに一点を見つめた。
「美里ちゃんと毎週会えるのを楽しみにしていたけれど、もうこの生活もお終いって事か……」
「ごめんなさい、なかなか言い出せなくて……」
寛は今さっき、馴染みの人達に、美里を彼女だと紹介したばかりだ。
いきなり別れたのでは恥をかかせてしまうかと、美里は心配になった。
寛は、熱燗をちびちびと啜った。
「引っ越し先は、遠いのか?」
「いや、遠くではなく……」
美里が答えかけたのを遮るように寛が話す。
「言わなくていい。……言わなくていい。君の引っ越し先へは行かないよ」
再び熱燗を啜る。
そして、熱燗を持った皺深い手をテーブルに置いた。
美里は思わずその手に自分の手を重ねた。
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