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花タクシー【完結】
第6章 コースプラン、決定す
コースプラン、決定す



「奧山さん、どうぞー」


「ああ、ありがと」


オレは栓を抜いた缶ビールをキヨエから受け取った。


”ここで、皆にビールは?とかなったらオプションだろうな。どうすっかな…”


と思ったところで、ずっと半身後ろ向きのりりかが目をきらっとさせて、意味あり気な口調で切り出してきたわ。


「奧山さん…、この花タクシーは夏目新町イースト街が発祥の地になって、
そのうち全国に普及しますよ。そのさきがけなんで、イースト街の各店では、いろいろ趣向を試みてるんです」


「ほう…。それで、リップゲートさんはどんなお楽しみを?」


「ズバリ言っちゃいますよ、奧山さんには」


「言っちゃって下さい」


「ええとですね、おさわりですね、相互の…」


オレはさすがに驚いた。
まさしく、そのものズバリだったので…。
しかも、”相互”と言うのがやけにナマ感で耳に残ってね。


***


「いくらなんですか、そのオプションは?」


「触り放題で1万円です」


ここでも触り放題というのがもう、ストレートすぎて、やけにおかしかった。


「ちなみに口説き放題コースですと3万円ですが、どうですか?その際、遠回りで30分タイム延長します。無論、乗車料金の加算はありません」


「りりかさん、あなたは端的でいいですね。じゃあ、オレが口説いてOKとなったら、この車の中でエッチもアリってことですね?」


「ええ。奧山さん、イースト街の同業各店は共同戦線を張ってるんですよ。…女の子の送りで店外営業の収益も得ようって。であれば、いろいろとやっていかないと…。必死なんです、水商売で生きる私たちも」


「試行錯誤のこの時期だけでかもしれませんよ、こんな移動ピンサロ」


家が近いとうキヨエも、若いがなかなかなタマのようだった(苦笑)。


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