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許嫁が多すぎる
第8章 第三試験
「それがワシの孫、有馬翔太だ」

やんちゃそうな男の子がピースサインをカメラに向かってしている写真だった。
大人ばかりの芸能界で暮らし、学校ではAV女優とか陰口を叩かれて友達のいない一条寺にとって翔太は爽やかな清涼剤のように感じた。

「わかりました。トップアイドルになったら翔太さんと契ります」

一条寺の答えに満足した紫水は笑いながら頷いた。


有馬紫水の力は想像以上で有名プロデューサーにプロデュースされた一条寺は瞬く間に人気アイドルへと駆け上った。
ジュニアアイドル時代の写真で煽る週刊誌もあったが一条寺は気にも留めなかった。

約束通り、一条寺は日本一のトップアイドルになった。
そして紫水との約束を果たすためにこの屋敷にやって来た。

紫水との約束の履行のためにも一条寺は是が非でもこの戦いに勝つ必要があった。
一人の男性を魅了出来ないで日本一のアイドルになったとは言えないと一条寺も考えていた。

しかしそれ以外の気持ちも目覚めていることも認めていた。
明るくて、そして優しい翔太に惹かれて始めている気持ちも、確かに存在していた。
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