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許嫁が多すぎる
第8章 第三試験
「くじ引きも試験の一つです。運がいいということも翔太様の伴侶となるためには必要なことです」

執事長は議論する余地もないくらいにきっぱりと言い放って二人の抗議を切り捨てた。

「朝十時から試験は開始です。本日のプランを決めるまでには二時間もあります」

それだけ言うと執事長は一礼をしてダイニングから出ていった。


「どうしよう……翔太君……」

さくらは涙目で翔太に尋ねる。

「大丈夫だ、さくら。落ち着こう。久々にこの屋敷を出てデートでもしようぜ」

さくらを落ち着かせるため翔太はわざとおどけてみせる。
翔太のおかげでさくらも少しだけ落ち着きを取り戻し、無理に笑みを作って頷いた。


午前十時になり翔太とさくらは手を繋いで屋敷から出ていった。
軟禁状態だった二人は久々の外の世界に心が弾んだ。

そんなにすぐに行く場所は決められず、二人は前からよくデートをしていた港へと向かった。
あてもなくブラブラしているだけでも恋人と手を繋いで歩く時間というものは、それだけで特別なものに感じられた。

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