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許嫁が多すぎる
第8章 第三試験
ベンチに座り、船を見ながら二人はたくさんキスをした。

二人きりとは言え少し離れた位置には例の無表情なメイドの監視の目があったが、そんなことは気にせず、二人は何度もキスをした。

さくらの足の捻挫があったため、あまりブラブラと歩くと負担がかかるので午後からは映画を観た。
映画館の中は暗くて監視しづらいためか無表情なメイドは翔太の隣に座って監視をしていたのがちょっと目障りだったが。

「これ可愛いっ!」

アクセサリーショップで安物のネックレスを見てさくらが目を輝かせる。

「買ってやろうか?」

「えっ……いいよ……」

「気にすんなよ。ほら」

ネックレスを手にとった翔太はレジで会計を済ませ直ぐにさくらにつけてやる。

「ありがとう……大事にするね」

さくらは婚約指輪を送られたかのように頬を染めて首にかかったネックレスをうっとりと眺めていた。
そんな恋人の仕草を見て翔太は心が温かくなる。
いくら豪華な屋敷で暮らしても幸せとは限らない。
小さな幸せでも大きく喜べば、それは幸せとなる。

さくらはそんな幸せの基本を翔太に教えてくれた。


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