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許嫁が多すぎる
第10章 三日目
午前十時、天谷聡子が翔太の部屋へとやって来る。

「よお」

「よっ」

幼なじみ同士、気心が知れた軽い挨拶が交わされる。
天谷はショートパンツに重ね着したTシャツというラフなものだった。
しかしショートパンツから伸びる日焼けした太ももには意識がいってしまう。

「きょ、今日はさ……久しぶりにうちに来いよ」

「うちって……お前んちか?」

「そう。数年全然来てなかっただろ?」

「まぁ、そういえば」

記憶を手繰っても中学になってからは行ってない気がした。

街でのデートを二日間行った翔太としてみれば家でまったりとするのも悪くないと感じていた。

屋敷から出て徒歩と電車で天谷の家へと向かう。
幼なじみのため、必然自分の家にも近い。

「あーなんだか数日間あの屋敷にいただけなのにやけに懐かしい気がするなぁ」

「ほんとだね。なんだか異常な出来事ばかりで随分と時間が経ったみたいだ」

天谷は後ろから付いてくるメイドの視線が気になって仕方ない様子だったが、この二日間でメイドの尾行にすっかり慣れた翔太は気にする様子もない。

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