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許嫁が多すぎる
第2章 祖父、紫水
「まぁ、父さんも嫌だが、このじいさんは言いだしたら聞かない。それに断れば息子だろうがなんだろうが構わず、無茶苦茶し出すからな、このじいさんは」

苦々しげに祥一郎は紫水を睨みつける。

「てかそれと俺の許嫁の話は何の関係があるんだよ!」

翔太は話を遮るように紫水に噛み付く。

「それはもちろん、有馬家の家督を祥一郎が継ぐことになればゆくゆくはお前も継ぐ可能性がある。そのお前に優秀な伴侶をつけさせるためだ。どこのあばずれかわからぬ女と結婚されても困るからな」

紫水はそう言いながら翔太の彼女である千樹さくらを睥睨する。

「てめぇっ……糞ジジイっ! 舐めんなよっ!」

「落ち着け、翔太。別にわしがお前の伴侶を決めるわけじゃない。お前自身が選ぶんだからな」

「じゃあ話も早い。俺はさくらと結婚する。はい終了!」

そう言って翔太は隣に座るさくらの手を取り立ち上がる。

「それは駄目だ」

落ち着いた声で紫水が翔太の動きを制する。

「ンでだよっ! 今じじいが言ったんだろ? 俺が決めていいって」

「もちろんだ。ただし試験をして、審査をした上で、だ。もちろん審査をするのはお前一人だ。お前がそのさくらとやらを選びたければさくらを審査で評価してやればいいだけのことだ」

「なんでそんなまどろっこしいことしなくちゃなんねぇんだよ!」

「お前にいろんな視野を持ってもらいたいからだ、翔太」

怒り散らす翔太を沈めるように、ややきつい口調で紫水が翔太に告げた。

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