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許嫁が多すぎる
第2章 祖父、紫水
全く落ち着かないまま、室内をウロウロと彷徨っているうちに、こんこんと遠慮がちなノックがされ、翔太は返事を返した。

「失礼します」

先ほどのメイドが再び部屋にやってくる。

「どうした? やっぱり人違いだったとか?」

軽い冗談を言うがメイドは顔色ひとつ変えず要件を告げる。

「少し早めではございますがお風呂の支度が整いました。お疲れでしょうからどうぞお入りください」

「えっ……風呂? あ、どうも……でもこの部屋にもあるよね?」

「こちらです」

メイドはそっと手をかざして翔太を促す。
仕方なく翔太はメイドに従い、大浴場へと向かった。

「こちらでございます。お着替えは用意しておきましたのでごゆっくり」

案内が終わるとメイドはすっとその場から立ち去った。
仕方なく翔太は脱衣所へと入る。
ちょっとした温泉宿の浴場のような広さの脱衣所と湯船に驚いたが、翔太は服を脱ぎ始めた。
確かに暑かったせいか汗でべとついており、さっぱりしたかった。

広い浴場には当然ながら誰もおらず、貸切状態の中、翔太は体を洗い始めた。

その時、カラカラっと浴室のドアが開く音がして驚いて振り返った。

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