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許嫁が多すぎる
第3章 脱出不可!?
夜、寝付かせる世話役がさくらの役割であった。

翔太はさくらをソファーに座らせて落ち着かせると優しくキスをした。
いつもはソフトなキスしかしない二人だったが、高ぶった気持ちのために舌を絡ませる深いキスになってしまう。

「さて、どうやって逃げ出すか……だな」

長いキスのあと、翔太が呟く。

「ごめん……無理みたいなの」

「え?」

「私もどうやったら逃げ出せるか考えて、建物の中を見たんだけど……逃げ出せそうもないの。出入り口は正面の玄関だけだし、そこにはいつも見張りがいるの。それに運良く逃げ出せても庭にはドーベルマンがいてすぐに襲いかかってくるみたい……」

「なるほど、な……」

さくらの言葉を聞きながらも翔太はまだほかの方法での脱出を考えていた。

「でもそれより厄介なのは……逃げたところで必ず捕まえに来るってことなの……逃げた時点で許嫁候補からは外されるし、その上捕まって『罰』を受けさせられるんだって……」

「罰って?」

「わからない……ただ、とても恐ろしい罰だとだけ聞かされたわ……」

「じゃあ俺だけ逃げ出すか。俺がいなかったら許嫁を決めるもなにも出来ないからな」

頭を切り替えた翔太は新たな提案をした。

「ううん……それも駄目。最初におじいさん、紫水さんから聞かされたんだけど……もし翔太君が逃げたらやはり捕まえてひどい仕打ちに合わせるんだって。だから翔太君を逃がそうなどと考えるなって……」

「あのじじぃっ!」

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