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許嫁が多すぎる
第1章 許嫁増殖
「逃げるぞっ! さくら!」
その間隙をついて翔太がさくらの手を引いて走り出した。
「あっ!?」
隙を衝かれた二人の許嫁は慌てて翔太を追いかける。
しかし街を知り尽くしていた翔太が土地感のない二人を撒くのは容易かった。
しばらく走り、追ってこないことを確認してから二人は公園のベンチに座って息を整えていた。
「もうっ……本当になんなのこれ? ……って翔太君自身も訳わかってないんだよね、ごめんなさい」
ぶつけようのない怒りを吐露してさくらが謝る。
「ううん。ごめん、俺の方こそ……いきなり許嫁とか、じいちゃんだとか……訳わかんないよ」
翔太はため息をつく。
「俺、オヤジからも母さんからもおじいちゃんおばあちゃんはみんな死んでいるって聞かされていたから……確かにオヤジの方のおじいちゃんの墓参りは行ったことなかったけど、別に気にもしたことなかったしなぁ……」
有馬紫水という名前ははじめて聞く名前だった。
有馬というくらいなのだから父方の祖父なのだろうが、写真すら見たことがない。
「とりあえず一旦家に帰ってご家族の方に聞いてみたら?」
さくらも心配そうに翔太を見詰めた。
その間隙をついて翔太がさくらの手を引いて走り出した。
「あっ!?」
隙を衝かれた二人の許嫁は慌てて翔太を追いかける。
しかし街を知り尽くしていた翔太が土地感のない二人を撒くのは容易かった。
しばらく走り、追ってこないことを確認してから二人は公園のベンチに座って息を整えていた。
「もうっ……本当になんなのこれ? ……って翔太君自身も訳わかってないんだよね、ごめんなさい」
ぶつけようのない怒りを吐露してさくらが謝る。
「ううん。ごめん、俺の方こそ……いきなり許嫁とか、じいちゃんだとか……訳わかんないよ」
翔太はため息をつく。
「俺、オヤジからも母さんからもおじいちゃんおばあちゃんはみんな死んでいるって聞かされていたから……確かにオヤジの方のおじいちゃんの墓参りは行ったことなかったけど、別に気にもしたことなかったしなぁ……」
有馬紫水という名前ははじめて聞く名前だった。
有馬というくらいなのだから父方の祖父なのだろうが、写真すら見たことがない。
「とりあえず一旦家に帰ってご家族の方に聞いてみたら?」
さくらも心配そうに翔太を見詰めた。