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永遠
第2章 一度だけの過ち
それはまだ夏が始まる前の新緑の5月。
キャンパスには活気とともに軽い倦怠も流れはじめていた。
一回生になったばかりの碧はその日暗くなるまで、サークルの部室でぼんやりノートパソコンに向かっていた。
詩や小説、イラストなどをテーマごとに作成するという同人誌。
その実、少し知的を自称する学生達が集まりじゃれあっているような、そんな他愛ないものだった。
窓の外にいきなり光が走り、耳をつんざくような音と前後して、叩きつけるような激しい雨が降りだした。
カーテンが降りたように薄暗くなった部室に村瀬が飛び込んできたのは、雷鳴から五分ほど後のこと。
「あれ?君、まだいたの?」
村瀬は全身ずぶぬれだったが、その笑顔は教授室で見せるのとかわらぬ爽やかさだった。
「まいったよ。駅に向かって五分もせずにこれだ。傘は持ってないし…ここならタオル位置いてるだろ?」
碧はその日午後の授業の後、村瀬に一時間近くも相談に乗ってもらっていた。 授業とは関係のない漠然とした将来の不安について。
面倒見のいい村瀬は同人誌サークルの相談役のような存在でもあった。
「今、先生のこと考えていました…」
心の中でつぶやいたつもりがそのまま口にでてしまったことに碧自身が一番驚いていた。
「え…?まだ話し足りないことでもあった?」
「…ただ…もっと一緒にいたい。話したい。そう思っちゃダメですか?」
雷雨で一気に暗くなった部屋の電気をつけようとした村瀬の手を碧は思わずつかんでいた。
「灯り、つけないで下さい。顔を見られたくないんです。」
碧は自分でもわからない力に突き動かされるように村瀬にしがみついていた。
キャンパスには活気とともに軽い倦怠も流れはじめていた。
一回生になったばかりの碧はその日暗くなるまで、サークルの部室でぼんやりノートパソコンに向かっていた。
詩や小説、イラストなどをテーマごとに作成するという同人誌。
その実、少し知的を自称する学生達が集まりじゃれあっているような、そんな他愛ないものだった。
窓の外にいきなり光が走り、耳をつんざくような音と前後して、叩きつけるような激しい雨が降りだした。
カーテンが降りたように薄暗くなった部室に村瀬が飛び込んできたのは、雷鳴から五分ほど後のこと。
「あれ?君、まだいたの?」
村瀬は全身ずぶぬれだったが、その笑顔は教授室で見せるのとかわらぬ爽やかさだった。
「まいったよ。駅に向かって五分もせずにこれだ。傘は持ってないし…ここならタオル位置いてるだろ?」
碧はその日午後の授業の後、村瀬に一時間近くも相談に乗ってもらっていた。 授業とは関係のない漠然とした将来の不安について。
面倒見のいい村瀬は同人誌サークルの相談役のような存在でもあった。
「今、先生のこと考えていました…」
心の中でつぶやいたつもりがそのまま口にでてしまったことに碧自身が一番驚いていた。
「え…?まだ話し足りないことでもあった?」
「…ただ…もっと一緒にいたい。話したい。そう思っちゃダメですか?」
雷雨で一気に暗くなった部屋の電気をつけようとした村瀬の手を碧は思わずつかんでいた。
「灯り、つけないで下さい。顔を見られたくないんです。」
碧は自分でもわからない力に突き動かされるように村瀬にしがみついていた。