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第2章 その男子、ケンジ

あ、もう一人いたか、とホッとした養護教諭だったが、その男子を見て落胆した。

その男子、２年２組の出席番号５番の男子生徒である。
名を、ケンジといった。
チンポは、十人並みに大きく膨らみ、突っ立ってはいたが。
背は、ひょろっと高い。１６５センチと２日前に行った健診の記録に載っている。
ところが、身体に筋肉がまるでない。
そう、この男子は、教師たちの間でも評判の、超が付く運動オンチ男子だった。
体育の時間、準備運動でグラウンド１周というのがあるが、他の男子は数分で終わらせるのに、ケンジだけは１０分経ってもまだ１周できないというありさまなのだ。
１年生の時は、意図的にクラスのスポーツ行事メンバーから外された。もちろんバレれば差別問題として追及されるが、ケンジも自覚していて通報することはなかった。

そして、さらにそのケンジは、事前に取った女子アンケートで
＜抱かれたくない男子１位＞
になっていた。
ケンジには、超運動オンチのほかに、もう２つの特徴があった。
１つは、＜キモヲタ＞。
気持ち悪いオタク、という意味だ。
もう１つは、＜無口キャラ＞。
コミュ障なのか、女子はおろか男子ともまったくしゃべらない。

ケンジは、非モテ３大要素を全て兼ね備えていた。

養護教諭は落胆しつつも、いちおう男子だしと思い
「ケンジくん、ルームを選んでください」
と言った。