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蕾は開き咲きほこる
第5章 楽しい時間
「ねぇ、光春くんってば、教えてよ」
何度か同じことを言われた課長は、うんざりと言ったように冷たく桜子さんをあしらった。
「ただ撮ろうと思っただけです!私が誰を撮ろうが桜子さんには関係ないでしょう。これ以上変なことを言い続けるなら写真あげませんよ!!」
冷たくあしらわれたにも関わらず、桜子さんは気にすることもなく「は~い」と間の抜けた返事をしていた。
そんな桜子さんの態度を見て課長は大きなため息をつき、課長は裏返しにした写真をスっと私の目の前に置いて笑った。
「桜子さんの言ったことは気にしないでください。私が撮った写真でよければ貰ってください――勝手に撮ってしまって申し訳ない」
「いえ、素敵な写真を、こちらこそ、ありがとうございます」
「そう思っていただけるのでしたらよかった」
その口調はいつもの感じで機嫌が悪い様子もなくホッとして、裏がえしにしてある写真を手帳に挟んだ。