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蕾は開き咲きほこる
第5章 楽しい時間
「そういう事でしたら責任をもって連れてきますよ。私も週末ごとに来てますからね。――それより、美味しく入れられる方法を教えてもらったのなら忘れないうちにもう一杯作ってみませんか?」
飲み終わったカップを私の方に向けて入れてほしいとジェスチャーする。
「光春くんに作るのなら私も!たまにはお客さんも体験したいかも~」
課長の提案に桜子さんもノリノリで、カウンターを出て私が座っていた椅子に座った。
どうしたものかと思ったけど、私が三人の中心にいるみたいでうれしくて煎れることにした。
ふたりから見つめられる中、震える手で桜子さんに教えてもらった注意点を気にしながらコーヒーを淹れた。
「どっ、どうぞ」
震える手でコーヒーを出すと、課長と桜子さんは「ありがとう」と一言だけ言って匂いを楽しんだ後、カップに口を付けた。
「うんうん。汐里ちゃんの性格が滲み出ておいしいわね」
「私の性格ですか?」
桜子さんの行っている意味が分からなかった。