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蕾は開き咲きほこる
第6章 私の頑張り

「な~んだ。彼女だって思って焦っちゃったじゃない。ただの部下でよかった」
「えっちゃんって昔から光春の事好きだったもんね。休み時間毎に光春の教室に顔を出してさ、帰りも校門前で待ち伏せして一緒に帰ってたよね」
「帰ってた帰ってた。家が逆方向なのに文句言いながらも送ってくれてさ。当時から優しかったもん光春って」
私が知る由もない学生時代の話を楽しそうに話す同級生。
その話から分かるように、えっちゃんと呼ばれた女性は課長の事を学生時代から好きで、今でも好意を寄せていることは伝わった。
だからあの冷たい視線なんだと理解するには十分だった。
「ね~。せっかく会ったんだから一緒にお昼でも食べに行かない?――そうだ!純一が居酒屋始めててね。いつもは夜だけなんだけど、お願いするとお昼からでも開けてくれるんだ。光春が戻ってきてるって言えば喜んで開けてくれるはずだから。ちょっと連絡してみるね」
課長の返事も聞かずにバッグからスマホを取り出して電話をかけようとした彼女の手を課長は止めた。

