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蕾は開き咲きほこる
第6章 私の頑張り
「坂上さん?大丈夫ですか?」
背中に課長の手が触れた瞬間、緊張がマックスに達し私はこの場所にいるのが限界で、今までにないほど動揺した。
「あっ、あのっ、お、お、お、お騒がせ、しっ、しっ、しっ、しました。かっ課長、さっ、さっ、先に、帰り、ます」
店内にいる同級生のみんなと課長に深々と頭をさげ、課長の静止も振り切って逃げるように店を出た。
土地勘もない場所を本能のままに走り、知らない公園のベンチに座ると、緊張の糸が切れたかのように脱力し、それと同時に自分の不甲斐なさに涙が頬を伝って手のひらに落ちていく。
せっかくの課長の大事な時間を台無しにしてしまった事、場の雰囲気を悪くしてしまったのに逃げ出したこと、色々な事が私の心を支配し惨めにする。
結局は優しく声をかけてくれる人がいる場所でしか私は変われていなかったのだと、少しでも変れた気がしていた自分が愚かだと気が付いた。
「変われないよ……変われるわけがない……」
そう言葉にしながら涙がとめどなく落ちていった……