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蕾は開き咲きほこる
第7章 気づかされる想い
「主人が亡くなった場所っていうのがね、藤棚から戻ってくる途中じゃなくて、私たちの家を通り越した先だったの。それもわざわざ高速に乗ってまで行くような場所でね。どうしてそんな場所に行ったの?って光春くんも私も分からなかった。わからなければ嫌な事ばかり思い浮かべるの。もしかしたら浮気していたんじゃないか、その事故現場は浮気相手の家の近所なんじゃないかって。光春くんはそんなことは決してないって言ってくれたけど、じゃあ、あそこに行った理由は何なのよって光春くんに当たり散らしたりもした。だけど、実際のところは……私の大好きなケーキを買いに行ってくれたんだって分かったの。喧嘩して不貞腐れた私の為に、主人は足を延ばして買いに行ってくれたって、その帰りに事故にあったんだって、主人の所持品を返された時に分かったの……もし、喧嘩しなければ、もし一緒に帰っていればって、考えても仕方がない事ばかり考えちゃってね。主人が亡くなって、店の事も生きる事もどうでもよくなってた時期に支えてくれたのが光春くん。立ち直るまで……立ち直った後でも主人との約束を守ってくれてるの」
「約束?」