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蕾は開き咲きほこる
第8章 冬空の下で

「なんなの?ここまで言っても平行線なんて信じられない。もう勝手にやってちょうだい、これ以上は面倒見切れないわ」

もう知らないと私と課長にぶつけた言葉を最後に、布団を頭からかぶった桜子さんが顔を見せる事はなかった。
何を話しかけても顔を出さない桜子さんに、このまま病室にいても桜子さんの身体に障るだけだと帰ることにした。

「桜子さん……何かあったら連絡してください。また来週顔を出しますから」

あれだけ言い合いをしても、帰り際に桜子さんにかける言葉は優しく、最後に布団の上からポンポンと桜子さんの身体を優しく叩いて病室を出た。

「すいません。せっかくお見舞いにつきあっていただいたのに……」

静まり返った廊下を歩きながら課長は何一つ悪くないのに頭を下げた。

「いえ、私も桜子さんの事が心配なので毎回ついてきてるだけですから……でもギブスも取れてよかったです」

「そうですね。怪我の方も順調に回復してますし、それ以上に口の方も順調すぎて困りものですけどね」

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