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蕾は開き咲きほこる
第8章 冬空の下で
何も言い返せないでいると、悦子さんは席を立って課長の腕を引っ張って立たせようとする。

「ほらっ!早く行きましょうよ。駅前でクリスマスマーケットやっててシナモンの良い香りもしてたのよ。そういえば学生の頃に行ったことあったわよね。あの頃はお酒なんて飲めなかったからリベンジね」

立たない課長を急かすと、その強引さに折れた課長はテーブルの上にある伝票を取って席を立った。

「仕方がありませんね、とりあえず出ましょう」

課長の言葉に飛び跳ねるように喜んだ悦子さんは、出口に向かう課長の腕に自分の腕を絡めて歩き出した。
その姿はどうみても恋人同士で、そんな姿を見たくない私はイルミネーションに視線を戻してグラスに入っているワインを一気に飲み干していた。
それでも気持ちがおさまらない私は、ボトルの中に入っているワインまで飲んで気持ちを紛らわせる。
だけど気持ちが落ち着くはずもなく、イルミネーションは次第に涙で滲み、あれだけきれいだと思っていたのに色褪せていった。

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