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蕾は開き咲きほこる
第8章 冬空の下で
「坂上さん、それ以上飲むと酔っ払いますよ」
肩にポンっと手を置かれた時には、その涙が頬を伝い落ちていた。
「さっ、坂上さん?どうしたんですか?どこか痛いところでもあるんですか?」
課長は見当違いな事を言って心配してくれた。
だけど、心配してくれても私の気持ちを理解してくれることはない。
きっと、言葉にしなければ私の気持ちは一生伝わらないと、思えた。
「……飲みに、行っちゃ、イヤです」
私は課長の袖を握りしめ、自分でも驚くほど自分の気持ちを言葉にできた。
「坂上さん?」
「悦子さんと、飲みに行って欲しくないです。今、一緒に居るのは私なのに……クリスマスマーケット……連れて行ってくれるって……先に約束したのは私なのに……他の人と、悦子さんと飲みに行くの……イヤです……」
驚く課長に私は縋り、自分の本心を口にした。
それは酔っているから言える言葉で、普段は言えない事も落ちついて言えた。
そんな私の頭の上に課長は手をポンと乗せた。