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蕾は開き咲きほこる
第8章 冬空の下で
「もう、遅い!こんな寒空の下で待たせるなんてありえないわよ、女性を待たせるなんて男としてダメじゃない」
「それは申し訳ない」
甘える悦子さんに興味がなさそうに返事をする課長は今までと違って冷たかった。
だけど、それを悦子さんは気が付かない。
「ふふふっ。でも一緒に飲みに行ってくれるから許しちゃう。じゃあ、坂上さん?ごめんなさいね、気を付けて帰ってね」
早く帰れと言わんばかりに私に手をふった悦子さんは課長の腕を引いて駅の方に歩き出した。
課長がどうやって悦子さんの誘いを断るのかと思っていると、悦子さんの腕からスルリと自分の腕を抜き、そのまま私の元に戻ってきて私の腰に腕を回して引き寄せた。
その瞬間、身体の左側が熱を帯びたように熱くなり、それは徐々に身体の中心部に広がっていく感じがして妙にドキドキして胸の前の服をギュっと握りしめた。
身体が熱を帯びている私と違って、課長の悦子さんに話しかける口調は先ほどと同じで冷たかった。