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蕾は開き咲きほこる
第8章 冬空の下で

「彼女の……汐里の言う通りです。今日は私も汐里と恋人らしく食事をしてイルミネーションを楽しもうと決めていたんです。ですから遠慮してください」

課長に初めて名前で呼ばれ驚いて顔を上げると、課長の手が頭に添えられ引き寄せられた。
それは課長の肩にもたれかかるような感じになり悦子さんには効果覿面だった。

「ちょっ、ちょっと待って。汐里って……恋人らしいって、えっ?えっ?どういうこと?ただの上司と部下なのよね」

驚く悦子さんに課長は冷静に私たちの状況を説明した。

「いつの話をしているんですか?あれから数ヶ月……男と女の関係なんて変わるんですよ。やっと私にも理想の女性が現れおつきいすることになったんです。なので悦子も祝福してくださいね」

最後に悦子さんに笑顔向けた課長は、何も言えなくなっている悦子さんの横をすり抜けて駅の方に歩き出した。
何度か振り返っても悦子さんが動くことなく、なんとなく可哀そうな気もしたけど、どこかホッとした。

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