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蕾は開き咲きほこる
第8章 冬空の下で

「気を取り直してクリスマスマーケットに行きましょう」

「あっ、はい」

課長は何事もなかったかのように、私の身体に手を添えたまま駅前にあるクリスマスマーケットに向かった。
会場に近づけば賑わっているのが分かり、ライトアップのきれいさよりも人の多さに驚いた。

「凄いですね。こんなに寒いのに人がたくさん」

「点灯しての最初の週末ですからね。――はぐれにように気を付けてください」

はぐれいないようにと、課長は腰から手を離して私の手を握った。
手を取られて驚いたけど、繋がれた手が嬉しくて、こんな事は2度とないと、今日だけは恋人気分で回ろうと課長の手を握り返してブルー基調のイルミネーションを見て回った。
そして、ツリーの前に戻ると観光先で見かけるような撮影するお兄さんに声をかけられ、課長と一緒の写真を撮ってもらった。
課長と恋人のようにクリスマスマーケットに来ることができただけでも夢の様なのに、二人の写真を撮ってもらえるなんて夢のまた夢の様だった。

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