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蕾は開き咲きほこる
第8章 冬空の下で

「マナー、違反ですよね。すいません……」

手酌をしている時は近くにいなかったとしても、恥ずかしいおもいをさせたかもしれないと思い謝ると、課長は優しく違うと言ってフォローをしてくれた。

「別に怒ってるわけではないんですよ。それにマナーを気にする程のお店でもありませんでしたから気にする事はありません――ただ……どうして一気にワインを飲んだりしたんですか?それまでもかなり飲んでいたので酔いが回ると分かっていましたよね」

それは至極真っ当な質問だったけど、課長がいる目の前でその答えを口にすることはできなかった。
答えれば私の課長への気持ちがばれてしまうし、そうなったら今の関係は続かない。
やっと手に入れた心休まる場所。
付き合うことができなくても、今のこの関係を崩したくはなかった。
そう思うと何も言えなくて黙り込むしかない。
私が答えなければ課長も何も話さず、静かな時間が過ぎていった……

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