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蕾は開き咲きほこる
第8章 冬空の下で
「……こんな事を聞く私も、男らしくないですね」
ずっと黙っていた課長が口を開いたのは、手に持っていたホットワインが冷たくなった頃だった。
「あまり自分の気持ちを言葉にしない坂上さんが、悦子と飲みに行かないでほしいと言ってくれた時は嬉しかったです。酔った勢いで出た言葉だとしても、私と一緒にいる時間を大切にして楽しみにしてくれている、それは私だけではなく坂上さんも同じように思ってくれているのだと思うと本当にうれしかった」
課長はどこを見るでもなく静かに話始め、それを私は静かに聞いた。
「正直、私は自分に自信がありません。仕事ではそれなりの評価をもらい課長と言う地位を頂いていますが、私個人となると自信がないんです。プライベートになれば人と関わることが苦手だと一人でいる事を望み、極力人と関わらないように生きてきました。その私が坂上さんとだったら一緒にいたい、出かけたいと思い、一緒にいる時間が楽しくて仕方がないんです」