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蕾は開き咲きほこる
第9章 キスの嵐

「それは気にしないでください。私が汐里と一緒に居たくて提案したんですから。――それより行きましょうか。そろそろ電車が来る頃ですよ」

時計を見ると乗る電車がホームに入ってくる時間で、課長に手を引かれながら階段を上った。
改札口で一瞬手を離して通過しても、すかさず指を絡めて手をつないでくれる。
その手は電車に乗っても繋いだままだった。

「結構混んでいますね。いつもこんなに混んでるんですか?」

人の波に飲まれ中央付近まで入り込んだ課長は、混雑している車内に驚いていた。

「この前後の時間帯はどれも似たり寄ったりですよ。課長の方は違うんですか?」

「この時間は混んでるでしょうね。ですので1時間早い電車に乗って出勤してるんです。一時間違うだけで座れるんですよ」

部内で一番に出社しているのが課長だった。
仕事の都合で1時間前に出社したことがあるけど、いつも静かに本を読んでいた。

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